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『日本彫刻史基礎資料集成』データベース [仏像]

 1ヶ月ほど自宅で過ごしていましたので、やっと集中してパソコンに向き合うことが出来ました。『基礎資料集成』も2期目が完成し、これから鎌倉時代の残りが3期目として刊行される予定なのでしょうが、このまま1年1巻のペースだと、とても、鎌倉時代が終わってから、まとめようにも、自身の能力に確信がもてません。なので、2期目という途中なのですが、一応データのまとめをしてみました。
このデータベースは、日頃入力している「単行本及び単行本論文」のデータをもとにして、項目を追加したり、入力間違いの訂正、及び書式の統一をしたものです。
以下、このデータベースの構造について、すこし詳しく述べてみようとおもいます。それは、このデータベースに入力してあるデータが、各項目にどういう書式で書かれているかを知ることによって、“検索”、“並び替え”がどういう方法でできるかを知ってもらうためです。データベースは、入力してある内容をある程度把握していなければ、十分な使い方は出来ないことになります。


入力項目(見える部分)
【単行本論文NO】
 NCHO 00 000 0000 最初の“NCHO”は単行本のタイトルの最初の4文字をアルファベットで表現したもの。“日本”から始まるタイトルは数が多いので、独自につけたもの。つぎの“00”は"NCHO”が複数在る場合の番号。つぎの“000”は巻数。最後の“0000”は、その本の内容で、入力項目を順番に並び替えられるように、その本の項目の状況によって、適宜つけたもの。たとえば、NCHO-00-001ー0200 は 「平安時代 造像銘記篇 第1巻 2,薬師如来像 黒石寺」』となります。ちなみに、“00”は平安時代造像銘記篇、“01”は平安時代重要作品篇、“02”は鎌倉時代 造像銘記篇 となります。
【年号】
書式は“年号”、(西暦)、その後に、“?”、“頃”、“前後”、“以前”、“以後” という語を適宜つけています。又、天仁年中(1108-1110)という表記もします。この項目では、年号をわかりやすく表記するための項目です。後記するように、インデックス項目として、【西暦】項目があり、そこから“並び替え”ができるようになっています。
【見出】
作品 都道府県 所蔵者 の順です。“作品”はこの本の目次に書かれているのをそのまま表記しています。従って、平安時代篇では、本字(旧字体)をそのまま表記しています。たとえば「17,藥師如來及兩脇侍像 奈良 靈山寺」というように。
所蔵者は、インデクス項目に【地域分類】という項目があり、そこには所蔵者名を新字体で書いていますので、所蔵者名で抽出することはできます。
【品質・仕上・員数・姿勢】
「品質」は“木造”、“銅造”、“鉄造”などの材質。「仕上」は“漆箔”、“彩色”、“素地”、“鍍金”、“切金”などの表面の状態。「員数」は文字通り“○軀”、“一対”等。「姿勢」は“立像”、“坐像”、“跪坐像”、“片足垂下像”等と表記しました。これはこの本の最初の基準から“姿勢”の表記が“形状”項目でしか書かれていないため、いちいち写真を参照しなければならなかったことの手間を省くためです。
【作家】
仏師名の項目です。銘記等で書かれている肩書・住所などその人物にかかわる記述をすべて入力することにしました。たとえば「158,馬頭観音菩薩像 京都 浄瑠璃寺 南都巧匠善義房良賢,禅林房増全,増良房観慶」
書体は検索時の障害を除くため、新字体に統一しました。“採色”も“彩色”としました。“アン阿弥陀仏”だけの銘記の場合はその後に“(快慶)”と加えました。検索の便のためです。
【修理銘等】
修理銘を“西暦”年修理[修理仏師名]のように表記しました。修理仏師も肩書等の情報も表記しました。例えば「76,四天王像 兵庫 圓教寺 1556年修理[修補大仏師覚継法印],1732年修理[定朝法印廿一代家京四条堀川西入町大仏師法橋祐慶,前田修理政美]」、また、仏像が複数の場合、どの仏像に銘記があるか等銘記・納入品に関することで特記の用がある場合表記をしています。
【備考】
所蔵者が複数の場合、その所在の表記。旧蔵者の表記等、その仏像にかかわる特記事項。
【著者名】
仏像の解説を担当した著者。著者名は、作品ごとではなく、下記の「論文名」の項目を書いているごとに1データとしています。
【論文名】
解説の項目。“銘記”、”納入品”、“形状”、“法量”、“品質構造”、“伝来”、”保存状態”、“備考”、“參考論文” という表記。
【始頁】
その論文の始めの頁
【終頁
その論文の終わりの頁
【書名】
本来なら『日本彫刻史基礎資料集成 平安時代 造像銘記篇 1』と表記するべきなのですが、省略して「平安時代 造像銘記篇1」としました。
【年月日】
本の発行年月日です。

 

入力項目(見えない部分)インデックス
以下の項目は“検索”、“並び替え”のために、もうけた項目です。従って、公表はしません。
【形態分類】
“論文”、“図版”、“解説”等12項目を設定したもの。入力時には、ポップアップメニューで選択できるようにしたもの。例外は認めない。
【大分類】
美術作品のジャンル。“彫刻”、“絵画”、“工芸”等30項目を設定したもの。入力時には、ポップアップメニューで選択できるようにしたもの。例外は認めない。
【中分類
主に、彫刻に関する分類。“作品“、“銘記”、“納入品”等23項目。入力時には、ポップアップメニューで選択できるようにしたもの。例外は認めない。
【尊像コード】
仏像・神像・肖像等の彫刻作品、曼荼羅を4桁のコードにまとめたもの。試行錯誤の末、なんとか使えるようにはなりましたが、例外処理にどうしても主観的になってしまうのが、これからの問題です。入力時には、ポップアップメニューで選択できるようにしたもの。例外は認めない。
【尊像分類】
尊像コードの項目に照合する尊像名。入力時には、ポップアップメニューで選択できるようにしたもの。例外を認める。
【所在コード】
7桁の数字で、都道府県・市町村名・寺院名を表記したもの。最初の2桁は都道府県コード、例えば“13”は東京都。次の3桁は市町村コード、最後の2桁は、合併以前の識別番号と合併以前の市町村名、主な寺院の番号。
例えば“
2222500 静岡県伊豆の国市【新設】
2222501 静岡県伊豆の国市(旧田方郡伊豆長岡町)
2222502 静岡県伊豆の国市(旧田方郡韮山町)
2222503 静岡県伊豆の国市(旧田方郡大仁町)
2222510 静岡県伊豆の国市<願成就院>
【地域分類】
所蔵者など、寺社名・個人名・機関名
【地域控】
所蔵者が複数の場合、表記する項目。その他、特記事項。
【時代コード】
4桁の数字。縄文時代から、朝鮮・中国の時代を網羅したコード。
例えば、
中国南北朝 3140
中国南朝   3141
中国宋    3142
中国斉    3143
中国梁    3144
中国陳    3145
中国北朝   3150
中国北魏   3151
中国西魏   3152
中国東魏   3153
中国北斉   3154
中国北周   3155
中国隋    3160
中国唐    3170
中国渤海   3177
【時代分類】
時代コードに照合する時代名。ポップアップメニューで選択できるようにしたもの。例外を認める。
【西暦】
4桁の数字、それに、以前<、以後>、頃%、と& を末尾に加え、並び替え用に作成したもの。
【編著者名】
この項目は、ほぼ同一データで煩雑なこともあり、非公表としました。

以上の項目を設定し、やっとのことで、多少、影響をおよぼさない程度に入力を省略していますが、人に見られるようになりました。これから、このデータをどのように加工していくかを考えなければなりません。
データベースを使う基本は、“抽出”、と“並び替え”です。まず、“抽出”に当たって、抽出する項目は、すべて新字体に統一しました。修理銘等の項目はすべて新字体にしてありますので、修理仏師名の抽出ができます。見出には、平安時代篇では、旧字が使われていますが、尊像名は“尊像分類”項目で抽出できます。納入品の尊像リストも“中分類”項目によって抽出できます。作家のリストも、“作家”項目で作家の名前のみの検索で抽出できますが、全体の並び替えはできません。
次に、“並び替え”ですが、もちろん年代順の並び替えは“西暦”項目でできます。尊像順の並び替えも“尊像コード”で可能です。また、著者の抽出も“著者名”項目でできます。その他、“地域コード”を使って地域順に並び替えができます。
さあ、これをどう調理するかは、これから考えていきたいとおもいます。ホームページ[春秋堂文庫]に掲載しようと思いますが、HTMLに変換するのに、結構手間がかかります。文献データベースもずいぶんとサボッているので、それもやらなければと思うと、まだ30年は生きなければなりません。データの1例を紹介します。ご評価をいただきたい。

時代順
NCHO-02-070-2260
 康元元年(1256) 226,十一面観音菩薩像 千葉 天福寺
 木造 素地 1軀 立像
 仏師賢光弁君
 武笠朗 銘記・形状・法量・品質構造・伝来・保存状態・備考・参考文献 162~163 『鎌倉時代 造像銘記篇7』  2009年02月25日 

NCHO-02-070-2220
 建長 8年(1256) 222,如意輪観音菩薩像 京都 透玄寺
 木造 金泥塗・漆箔 玉眼 1軀 坐像 
 水野敬三郎 納入品・形状・法量・品質構造・伝来・保存状態・備考・参考文献 140~147 『鎌倉時代 造像銘記篇7』 2009年02月25日
 
NCHO-02-070-2210
 康元元年(1256) 221,地蔵菩薩像 奈良 春覚寺
 木造 彩色・切金 玉眼 1軀 立像
 大仏師刑部法橋快成,小仏師二人之内快尊浄□,都維那師□□,快弁□因□□,厨子絵尊智法眼嫡子快智大夫法眼,彩色朝命尊蓮房尊智弟子也 
 岩田茂樹 銘記・納入品・形状・法量・品質構造・伝来・保存状態・備考・参考文献 133~138 『鎌倉時代 造像銘記篇7』 2009年02月25日
 
NCHO-02-070-2280
 康元元年(1256) 228,地蔵菩薩像 神奈川 正眼寺
 木造 彩色・切金 玉眼 1軀 立像
 武蔵法橋康信?
 1671年修理[細工武州之住□□江戸之□□仏□□□],1803年修理[大工小田原新宿町棟梁林右衛門,仏師同大黒屋文蔵]
 水野敬三郎 納入品・形状・法量・品質構造・伝来・保存状態・備考・参考文献 177~182 『鎌倉時代 造像銘記篇7』 2009年02月25日
 
NCHO-02-070-2200
 建長 8年(1256) 220,愛染明王像 奈良 奈良国立博物館
 木造 彩色・切金 玉眼 1軀 坐像
 大仏師刑部法橋快成,小仏師都維那快尊,因幡公快弁
 岩田茂樹 銘記・納入品・形状・法量・品質構造・伝来・保存状態・備考・参考文献 128~132 『鎌倉時代 造像銘記篇7』 2009年02月25日
 
NCHO-02-070-2230
 建長 8年(1256) 223,金剛力士像 岐阜 横蔵寺
 木造 彩色 玉眼 2軀 各立像
 仏師五人坪坂住大仏師法眼和尚位定慶,小仏師越後法橋上人□□,讃岐法橋上人長慶,僧越中朝慶,僧讃岐□□己上五人
 1445年修理,1477年修理[仏師道破薩摩国住人也]
 根立研介 銘記・形状・法量・品質構造・伝来・保存状態・備考・参考文献 150~154 『鎌倉時代 造像銘記篇7』 2009年02月25日
 
NCHO-02-081-1200
 建長 8年(1256) 補遺一二 泰澄大師像 岐阜 大師講
 木造 彩色 玉眼 1軀 坐像
 美濃国安八郡大嶋郷住大仏師幸賢,少仏師覚尊
 水野敬三郎 銘記・形状・法量・品質構造・伝来・保存状態・備考 64~66  『鎌倉時代 造像銘記篇8補遺』 2010年02月25日

尊像順(淸凉寺式釈迦)
NCHO-02-010-1000
 建久 4年(1193) 10,釈迦如来像 東京 大円寺
 木造 彩色・切金 1軀 立像
 1707年修理[江戸中橋仏師須藤内記浄安]
 西川杏太郎 納入品・形状・法量・品質構造・伝来・保存状態・備考・参考文献 93~95 『鎌倉時代 造像銘記篇1』 2003年04月15日

NCHO-02-030-0710
 建保元年(1213) 71,釈迦如来像 京都 平等寺
 木造 金泥塗・彩色 玉眼 1軀 立像
 仏師僧良円,僧良□
 山本勉 銘記・形状・法量・品質構造・伝来・保存状態・備考・参考文献 12~14  『鎌倉時代 造像銘記篇3』 2005年03月28日
 
NCHO-02-060-1890
 建長元年(1249) 189,釈迦如来像 奈良 西大寺
 木造 素地・切金 1軀 立像
 大仏師法橋上人位善慶歳五十三臘二十五持斎二十三日,増金,行西,盛舜,観慶,弁実,迎摂,慶俊,尊慶,絵師定春,蓮□,幸実,鏡辨,番匠行久,紀時末,真野末国,三国国満,紀時末己上三人厨子
 1584年修理,1850年修理[京都大仏工職清水定運,量度]
 田邉三郎助 銘記・納入品・形状・法量・品質構造・伝来・保存状態・備考・参考文献 126~197 『鎌倉時代 造像銘記篇6』 2008年02月25日
 
NCHO-02-090-2360
 正嘉 2年(1258) 236,釈迦如来像 奈良 唐招提寺
 木造 素地・切金 1軀 立像
 台座蓮弁修理銘[椿井次郎丸],台座葺軸修理銘[南都元林院町大仏師淸慶] 
 奥健夫 納入品・伝来・備考・参考文献  34~112 『鎌倉時代 造像銘記篇9』 2013年02月10日
 岩田茂樹 形状・法量・品質構造・伝来・保存状態 106~112 『鎌倉時代 造像銘記篇9』 2013年02月10日

NCHO-02-090-2440
 文応元年(1260) 244,釈迦如来像 岐阜 即心院
 木造 金泥塗・彩色・切金 玉眼 1軀 立像
 覚円仏子造也
 山本勉 納入品・形状・法量・品質構造・伝来・保存状態・備考・参考文献 164~166 『鎌倉時代 造像銘記篇9』 2013年02月10日
 
NCHO-02-100-2820
 文永 5年(1268) 282,釈迦如来像 愛媛 宝蔵寺
 木造 漆塗 1軀 立像
 大仏師薩摩法橋興慶
 副島弘道 銘記・形状・法量・品質構造・伝来・保存状態・備考・参考文献 87~89 『鎌倉時代 造像銘記篇10』 2014年02月28日

 


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